Photo: Blizzard

イギリスの大学はルートボックス(ガチャ)が子どもたちに「経済的・精神的な被害」をもたらしているという新たな調査結果を発表している。

ニューキャッスル大学とラフバラー大学が行った調査・研究報告書「ゲームとギャンブルの類似性」によると、ゲーム内で宣伝されている「購買欲を強く刺激する」アイテムが金銭感覚を麻痺させて、プレイヤーは際限なく課金してしまうと指摘している。

さらに報告書の中では、18歳未満へのルートボックス・システムの販売を禁止したうえで、ゲーム内通貨は廃止して、現実の通貨のみを使うべきだと主張している。

調査のレポートでは次のように報告されている。「ビデオゲームに導入されている一定の確率でアイテムを獲得できるシステム(いわゆるガチャ)は、視覚的・聴覚的なデザインに規制の対象であるギャンブルのマシンやシステムとの類似性が認められる」

「例えば、実証研究の中では、子どもや若いゲーマーがプレイしている様々なビデオゲームでスロットやルーレットが使われている。こういったギャンブル性のあるシステムには、“ニアミス効果”が使われており、ゲーム内でレア度や価値が高いアイテムがもう少しで当たりそうだとプレイヤーに錯覚させる。この仕組みが原因で、一部の子どもや若者はゲーム内のルートボックス・システムに際限なく課金してしまうことが判明している」

今年7月、英政府はゲーム業界に対してルートボックス・システムの規制を見直さない場合、法的な取り締まりを強化すると警告している。

英デジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)は声明のなかで、ゲーム内のルートボックス・システムとギャンブルの類似性を指摘しており、子どもを「保護する取り組みの改善」をゲーム企業に呼びかけている。

英政府は2020年に、ルートボックス・システムの悪影響を調査するように各研究機関に呼びかけていた。今回、政府はニューカッスル大学とラフバラー大学の調査結果を基に、保護者の承認がない限り、子どものゲーム内課金を禁止するようゲーム企業に求めている。さらに政府は、Xboxのペアレンタル・コントロールを例に挙げて、このような保護機能の配備を推進するよう呼びかけており、実施されなければ法整備を検討するとしている。

一方、今年8月の研究結果ではルートボックス・システムを国全体で規制するのは「現実的に不可能」だという指摘もされている。2018年にはベルギーでルートボックス・システムをギャンブルの一種と見なし、違法とする法律が制定されたが、実際には多くのゲーム企業が法律を無視しており、取り締まりも行われていないことが明らかになっている。

ある報告によると、ゲーム内のルートボックス・システムはゲーム市場全体で2025年までに約200億ドル(約2兆7000億円)の収益を上げると予想されている。

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