スクウェア・エニックスの決算説明会で代表取締役社長の松田洋祐が、海外の複数スタジオおよび一部のIP売却で獲得した資金はNFTやブロックチェーンなどではなく「骨太IPの育成と開発力の増強」に投資すると発言したことが明らかとなっている。
スクウェア・エニックスは5月2日、欧米開発スタジオ3社と50タイトル以上のIPをスウェーデンのゲーム会社であるエンブレイサー・グループへ売却すると発表している。IPには『トゥームレイダー』、『デウスエクス』、『シーフ』などの大作も含まれており、クリスタル・ダイナミックスなどが対象のスタジオとなっている。
スクウェア・エニックスは本件のプレスリリースで「ブロックチェーン、AI、クラウドという領域への投資を推進し、新規事業の立ち上げを加速させる」ためと説明していたが、決算説明会での説明では方針の転換が見受けられる。
決算説明会で松田洋祐は「今回の売却により獲得した資金は、NFTやブロックチェーン等の新規投資領域に投入するわけではなく、当社の中核事業であるデジタルエンタテインメント事業における、骨太IPの育成と開発力の増強を中心に充当します」と発言している。
また「新規投資領域への投資については、中核事業とは切り離した形で資金調達を考えており、CVCの設立等を検討中です」と述べている。「今後も当社にIPが帰属する『ジャストコーズ』シリーズに関しては、既に新作の開発を進めております」
NFTをゲームに活用することに対して否定的な意見もあるなか、昨年来、松田洋祐はNFTやブロックチェーンを活用したゲームの可能性を発信してきた。1月の「年頭所感」では、これらの技術がプレイヤー主体の新たなゲーム制作のあり方を実現できるのでないかと述べており、4月のメディア・インタヴューでもNFTやブロックチェーン、プレイ・トゥ・アーンを将来的に自社のゲームに取り入れる方針であることを明らかにしていた。
エンブレイサー・グループはスクウェア・エニックスから買収したIPについて、買収発表時の「非常にポジティヴな反応」を受けて、「続編やリメイク、リマスター、スピンオフ、メディアの枠を超えた作品などを今後開発する可能性がある」と述べている。
その他のニュースとして、先日発表されたファンタジーRPGシリーズ最新作『ドラゴンエイジ:ドレッドウルフ』の品質管理部門の担当者たちが、労働組合の結成を満場一致で決議したことを海外メディア『ポリゴン』が報じている。彼らは開発元のバイオウェア社と契約を結んでいるキーワーズスタジオ社の従業員たちで、「これで、より良い労働条件で働けます」と述べている。
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