Photo: Nintendo

任天堂の米国法人ニンテンドー・オブ・アメリカが海賊版ゲームを配信していたサイト「ロム・ユニバース」の運営者との裁判で勝訴したことが明らかとなっている。裁判所はサイトの運営者に215万ドル(約2億3600万円)の損害賠償金の支払いを命じている。

同サイトの運営者であるマシュー・ストーマンは、利用者がROMファイルで海賊版ゲームをダウンロードできるサイトを運営していたが、昨年ニンテンドー・オブ・アメリカの要請を受けてサイトを閉鎖していた。訴訟については先週末の『トレント・フリーク』の報道が第一報となっていた。

ニンテンドー・オブ・アメリカは提訴の時点で、マシュー・ストーマンが任天堂の海賊版ゲームを同サイトにアップロードして配布し、サイトの有料会員から利益を得ていたと主張していた。

マシュー・ストーマンは同社の主張に異議を唱え、ROMファイルを自らアップロードしたのではないため、法律には違反していないと主張していた。これを受けてニンテンドー・オブ・アメリカはマシュー・ストーマンが以前ROMファイルをアップロードしていた証拠を提出し、彼の主張の矛盾を指摘していた。

同社はマシュー・ストーマンに対する損害賠償を1500万ドル(約16億4200万円)とし、略式判決を下すよう裁判所に求めていた。米国連邦地方裁判所の判事を務めたコンスエロ・マーシャルは、ニンテンドー・オブ・アメリカを勝訴とする判決を下している。しかし、損害賠償金については同社が当初要求していた金額を下回るものとなっている。

また、マシュー・ストーマンは「原告が著作権、商標、不正競争の方針を被告に誤って伝えていた」と主張して、同社に対して反訴を提起しようとしていた。

彼は同サイトの会員がプレイ可能のファイルを実際にダウンロードしたことを同社が証明する必要があると論じていた。裁判所は反訴の内容がこれまでの抗弁とあまりに類似しているとし、訴えを却下している。

コンスエロ・マーシャルは同社が求めていた、被告に対する「ロム・ユニバース」の所有や運営を禁止する差し止め命令については却下している。

判事は同サイトが既に閉鎖済みであることに触れ、次のように述べている。「原告は将来的な権利侵害の可能性を証明できておらず、また証拠から被告が『事業を放棄』していることが示されている」

判事は同サイトにより生じた損害に対して、被告に215万ドル(約2億3600万円)の損害賠償金の支払いを命じる判決を下している。

和解金の内訳を含む裁判所の判決の詳細はこちらから。

https://www.courtlistener.com/docket/16178186/75/nintendo-of-america-inc-v-matthew-storman/

現在閉鎖されている「ロム・ユニバース」では、レトロゲームのROMファイルが共有されていたという。ROMとはRead Only Memoryの略で、ゲームなどのデータが入った読み出し専用のメモリのことである。ROMファイルに含まれているゲームは、エミュレータを使用してプレイすることができる。

エミュレータを使用してゲームをプレイすること自体は違法ではなく、法的には私的目的のゲームの複製に関しては認められる場合があり、ゲームの所有者がROMファイル形式で自分のゲームのデジタル版を作成したり、別の場所に転送することができるケースもある。しかし、ROMファイルをオンラインで共有することは違法であり、これはゲームの海賊行為や著作権の侵害とみなされている。

その他のニュースとして、開発元のイド・ソフトウェアとエヌビディア・コーポレーションはPC版『ドゥーム エターナル』がアップデートによりレイトレーシングとDLSSに対応することを発表している。

エヌビディア・コーポレーションは今後DLSSに対応予定の作品として、『レッド・デッド・リデンプション 2』や『レインボーシックス シージ』のほか、『デイジー(DayZ)』のクリエイターとして知られるディーン・ホールが開発中のサバイバルゲーム『イカロス』などを挙げている。

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