英競争・市場庁(CMA)はアップルとグーグルによるモバイル市場の独占状況に関する本格的な調査を開始したと発表している。
今年6月、競争・市場庁の1年におよぶ調査の結果、アップルとグーグルの2社が特にインターネット・ブラウザとクラウド・ゲーミング分野で実質的にモバイル市場を独占していると報告していた。
競争・市場庁は当時、アップルが「クラウド・ゲームのサービスがアップ・ストアへ参入するのを妨げている」とプレス・リリースで述べている。
「ゲーム・アプリはアップルの重要な収入源であり、クラウド・ゲームの参入はアップルストアの存在にとって脅威となる可能性があります。アップルがクラウド・ゲーム分野に参入障壁を築くことで、モバイル・ユーザーがクラウド・ゲームの恩恵を十分に受けられない懸念があります」
競争・市場庁はモバイル市場でのクラウドゲームの制限について英国の企業から不満の声が寄せられたことから、クラウドゲーム市場のさらなる調査を予定しているという。
当局はグーグルとアップルに法的拘束力のある事業改善命令を出す可能性もあると述べている。2021年には、英国で閲覧されたモバイル・ブラウザの97%がアップルもしくはグーグルのエンジンを搭載したブラウザであることが明らかになっている。
『VGC』によると、競争・市場庁は現地時間11月22日から正式に調査を開始している。
競争・市場庁は新たなプレスリリースで次のように述べている。「英国のコンピューター・ゲーム産業の市場規模は、数十億ポンド(数千億円)です」
「英国ではすでに80万人以上がクラウドゲーム・サービスを利用していますが、モバイル機器にサービスを提供するには制限があり、クラウド・ゲームの参入が妨げられています。つまり、英国のプレイヤーたちは(クラウドゲームをプレイする機会を)失っているのです」
「本日(11月22日)付けで公開された聞き取り調査の結果では、“アップルとグーグルによるモバイルブラウザ市場の独占”および“アップルによるアップ・ストアでのクラウド・ゲームの制限”に関して、本格的な調査が必要だと判明しました」
「調査の多くはブラウザベンダー、ウェブ開発者、クラウド・ゲーム・サービスの事業者からのもので、モバイル市場の現状が彼らのビジネスに悪影響を与えており、イノベーションを妨げているほか、不必要なコストを課しているとの声が寄せられています」
競争・市場庁の暫定チーフ・エグゼクティヴであるサラ・カルデルは次のように語っている。「英国で消費者が最高のモバイル・データ・サービスを受けられ、開発者たちが革新的な新規アプリの開発に投資できるよう取り組んでいます」
「英国の企業やウェブ開発者たちの多くは、アップルとグーグルが設ける制限に(ビジネスが)阻害されていると感じているようです」
「新たなデジタル市場の体制が整えば、このような問題にも対応できると考えられます。一方で、我々は既存の権限を行使して、可能な限り問題の解決に取り組んでいます。聞き取り調査で寄せられた懸念が正当なものか調査する予定であり、それが正当であれば、クラウド・ゲーム分野における競争力と革新力を向上させる施策を検討します」
競争・市場庁の新たなプレスリリース全文(英語)はこちらから。
その他のニュースとして、マイクロソフトは先日、モバイル・プラットフォームで「次世代のゲームストア」を開発する計画を開示している。
同社はアクティヴィジョン・ブリザード社の買収に関する調査を進める英競争・市場庁に対して現地時間10月11日に文書を提出しており、その中で計画の概要を説明している。
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