英スライトリー・マッド・スタジオの創業者兼元CEOであるイアン・ベルは同社が手がけるレーシング・ゲーム『プロジェクト・カーズ』シリーズの開発終了を発表したエレクトロニック・アーツを批判している。
エレクトロニック・アーツは11月8日に、『プロジェクト・カーズ』シリーズの「開発と投資」を停止すると発表している。同シリーズは2015年に1作目が発売されており、その後、続編として『プロジェクト・カーズ2』(2017年)と『プロジェクト・カーズ3』(2020年)がリリースされている。
『プロジェクト・カーズ』シリーズはPC、プレイステーション4、Xbox One向けにリリースされており、現在は『プロジェクト・カーズ3』のみ配信されている。また、2021年3月にはモバイル版スピンオフ『プロジェクト・カーズ・ゴー』がAndroidとiOS向けに登場している。これまでに発売された『プロジェクト・カーズ』シリーズはすべてスライトリー・マッド・スタジオが開発を手がけている。
エレクトロニック・アーツの広報担当者は、今回の決定を次のように説明している。「『プロジェクト・カーズ』の新作と長期的な成長の可能性を検討した結果、本シリーズの新作開発と投資の停止を決定しました」
イアン・ベルは2009年にスライトリー・マッド・スタジオを設立して、先月同社を退社している。退社する際に「スタジオの未来が保証された今、身を引くべき時がきました」とツイートしている。
『プロジェクト・カーズ』シリーズ終了のニュースは、スライトリー・マッド・スタジオの160人以上の従業員に影響を与えると予想され、イアン・ベルは次のようにツイートしている。「エレクトロニック・アーツよ、素晴らしくあり続けてください……私は自分の考えをお伝えしましたし、それが正しいと信じています」
「表計算シートの下にある数字(希望や夢、家族を持つ人々のことです)は、どうなっているのでしょうか?」
EA, keeping on being awesome… I said my bit and I stand by every word as they continue to prove them.
How are those numbers (sorry I mean people, with hopes, dreams and families) looking, at the bottom of those the spreadsheets?
— Ian Bell – Something Unique and massive coming. (@bell_sms) November 8, 2022
さらに、次のように続けている。「つまり、18時間ほどかけて、旧(『プロジェクト・カーズ2』の)開発チーム全員と連絡しています」
「『GTR 2 FIA GT レーシング・ゲーム』の開発メンバーの多くはすでに我々とともにあり、また『プロジェクト・カーズ2』の優秀な開発者の多くが参加を希望しています。『GTRレヴォリューション』は、考えられる全ての手段を駆使して完全な形になりつつあります。現在開発中です。協力してくれる方は歓迎します」
その後、イアン・ベルは「まだ自分に連絡していない旧開発チームのメンバーは、メールで連絡してほしい」とツイッターで呼びかけている。また、ファンからの質問にも答えている。ファンたちとのやり取りのツイートはこちらから。
So that's about 18 hours and counting calling all of the old pCARS2 team. Many of the GTR2 guys are already with us and most of the pCARS2 superstars want to join. GTR Revolution is going full hardcore in every possible way we can think of. It's already building. Input welcomed.
— Ian Bell – Something Unique and massive coming. (@bell_sms) November 9, 2022
For any of the old team I haven't gotten numbers for (called as yet). Please grab me on ian@madcoin.com
— Ian Bell – Something Unique and massive coming. (@bell_sms) November 9, 2022
I'll not specify. But publisher pressure yes.
— Ian Bell – Something Unique and massive coming. (@bell_sms) November 9, 2022
I disagree. You won't know this but I argued vociferously for PC3 to be called by another name to differentiate it from the 'hardcore sim line'. I was over-ruled (wasn't accustomed to that) by a 'marketing department'. I also announced it would be a spiritual successor to Shift.
— Ian Bell – Something Unique and massive coming. (@bell_sms) November 9, 2022
エレクトロニック・アーツは『ゲームズ・インダストリー・ドット・ビズ』で声明を発表しており、スライトリー・マッド・スタジオの従業員は「EAスポーツとレース・ポートフォリオ部門で可能な限り最適なポジション」に異動させると述べている。
『VGC』によると、イアン・ベルは以前、スライトリー・マッド・スタジオが『ニード・フォー・スピード シフト』(2009年)と続編の『シフト2 アンリーシュド』(2011年)を発売した後に、エレクトロニック・アーツはスライトリー・マッド・スタジオを「破壊しようとした」と非難している。
2017年にイアン・ベルは次のように主張している。「エレクトロニック・アーツは当社をめちゃくちゃにしました。他に言いようがありません。それがEAのやろうとしたことです。当社を破壊しようとしました。我々にはEAに対する愛はありません」
また、EAワールドワイド・スタジオの責任者パトリック・ソダーランドを「最悪の企業モンスター」だと表現しており、同社はスライトリー・マッド・スタジオを買収しようとしていたと語っている。
エレクトロニック・アーツは『プロジェクト・カーズ』シリーズの開発終了について、次のように説明している。「非常に難しい決断でしたが、この決断により、当社の強みを最大限に活かせる分野で、ファンの皆さんに愛されるゲームの開発を優先できるようになります」
「当社の強みであるレーシング・ポートフォリオ、特にライセンスIPやオープンワールド形式のゲーム体験に注力します。そして、世界中のコミュニティを引き付ける長期的なライヴサービスで社会により大きな影響を与えられるよう、当社のシリーズ作品を拡充していきます」
「スポーツやレーシングといったエンターテインメントの中心がゲームです。ファンの皆さんの期待が変化する中で、純粋にゲームをプレイするだけでなく、当社のゲームを進化させる必要があると認識しています。ファンの皆さんが観て、創作し、そして友人と繋がれるゲームをお届けします」
今年8月、スライトリー・マッド・スタジオは『プロジェクト・カーズ』および『プロジェクト・カーズ2』について、ライセンスが期限切れになることを理由に全てのゲームストアでの販売を終了すると発表している。
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