マイクロソフトはモバイル・プラットフォームで「次世代のゲームストア」を開発する計画を開示している。
同社はアクティヴィジョン・ブリザード社の買収に関して調査を進める英規制当局の競争・市場庁(CMA)に対して現地時間10月11日に文書を提出しており、その中で計画の概要を説明している。
『ザ・ヴァージ』によると、文書には次のように記載されている。「この買収でマイクロソフトにアクティヴィジョン・ブリザード社のコンテンツが加われば、モバイルなど幅広いデバイスで機能する次世代のゲームストアを作り上げる技術の向上が見込めます」
「アクティヴィジョン・ブリザード社が所有する既存のゲーム・コミュニティを生かして、Xboxストアをモバイル向けに拡大し、ゲーマーたちを新たなXboxモバイル・プラットフォームに引きつけることを目指します」
「しかしながら、モバイル・デバイス市場において、グーグル・プレイ・ストアやアップ・ストアからゲーマーを移行させるには彼らの行動を大きく変える必要があります。当社が有名で人気のあるコンテンツを提供することで、ゲーマーのみなさんが新しいものを試そうとする傾向になればと期待しています」
また、マイクロソフトは文書の中で、同社がアクティヴィジョン・ブリザード社を買収することでモバイル分野において「存在感が高まる」と説明しており、その具体例として『コール・オブ・デューティ:モバイル』やキング社が手掛ける『キャンディークラッシュ』を挙げている。
「キング社や『コール・オブ・デューティ:モバイル』などのモバイルゲーム、およびそれに付随する収益は、アクティヴィジョン・ブリザード社の2022年上半期における収益の半分以上を占めています。また、モバイルゲームのユーザー数は月間アクティヴ・ユーザー数(MAU)の約4分の3を占めています」
「マイクロソフトは現在、モバイルゲームの分野において存在感がなく、今回の買収で当社に必要なモバイルゲームの開発、マーケティング、広告や宣伝に関する専門知識を獲得できます。また、アクティヴィジョン・ブリザード社はモバイルゲームの開発および販売で得たノウハウをXboxゲーム・スタジオに提供できるようになります」
Xbox部門責任者のフィル・スペンサーは以前、アクティヴィジョン・ブリザード社の買収案を推進できたのはマイクロソフトがモバイルゲーム分野での事業拡大を目指していたためであると話している。
フィル・スペンサーは今年8月に『ブルームバーグ』に対して次のように語っている。「アクティヴィジョン・ブリザード社のモバイルゲームとPCゲームの分野における開発力について、少なくとも社内では実際に議論を始めたところです。この2つに当社は魅力を感じています」
マイクロソフトによるアクティヴィジョン・ブリザード社の買収額は約687億ドル(約7兆9000億円)と推定されており、現在は各国の規制当局から買収の承認を得る手続きを行っている。一部の国からは既に承認を得ているが、英競争・市場庁は先月、この買収が「競合他社に損害を与え、市場競争を阻害する」恐れがあるとの懸念を表明している。
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