Photo: Infinity Ward

インフィニティ・ウォード社が提供する『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2』のキャンペーンモードでは、敵に着弾したことを示すヒットマーカーがなくなっている。その代わりに、赤い煙で着弾したことが確認できるようになっている。

この仕様はゲームの序盤でも説明されている。プレイヤーはキャンペーンの最初のミッションで、特殊作戦部隊として最重要人物を捕らえる任務を与えられるが、作戦がうまく進まないと必然的に銃撃戦になるため、この赤い煙をたくさん見ることになる。うまく狙えば一発で敵を倒せるかもしれないが、狙われているのは敵も味方も同じであって、戦闘が激化すると通常の難易度でもほとんど反撃できずに敵の集中砲火を浴びて倒されるかもしれない。

ヒットマーカーがなくなったことで『モダン・ウォーフェア 2』のキャンペーンモードは、緊張感がさらに増している。本作でも「視界の悪い建物を破壊して突っ切る」という強引なプレイは可能だが、潜伏していた敵に不意を突かれて一瞬で倒されるという、これまでとは違ったステルス要素のあるプレイも特徴となっている。もちろん、本作でも暴力的な戦闘シーンは健在だが、そのボリュームは比較的少なくなり、ステルス要素に重点が置かれている。これにより、今まで通り派手な銃撃戦を楽しんだり、騒ぎを起こさないように戦闘を避けるなど、遊び方の幅が広がっている。

本作では様々な銃火器を使えるが、銃器の操作性こそ本作の注目すべき点となっている。EBR-14ライフルは発砲音が少なく、敵の部隊を隠密に攻撃できる。他にも、狭い部屋でショットガンを撃つと、まるで花火を打ち上げたようにあたり一面が明るく照らされる。さらに、多種多様なステージが用意されており、遠距離からの攻撃や至近距離での銃撃戦が楽しめ、戦闘場面に応じて様々な種類の武器を試すことができる。スナイパーライフルや大型のアサルトライフルは、狭い廊下での戦闘には不向きでピストルやサブマシンガンの方が有利だが、遠距離から攻撃する場合はその威力を発揮できる。

戦場では変化に富んだ地形を利用して様々な戦略を楽しめる。アムステルダムの運河で武器密輸業者を暗殺したり、スペイン沖に浮かぶ小島のステージは2007年の『コールオブデューティ4:モダン・ウォーフェア』を代表するステージ「オール・ギリード・アップ」を再現しており、隠密作戦が繰り広げられる。本作では、アメリカの弾道ミサイルが盗まれて国際的な騒動に発展するストーリー展開となっており、プレイヤーは特殊作戦部隊としてこのミサイルを探すことになる。本作では、世界を股にかける特殊作戦部隊の荒々しさと、洗練された銃器がそれぞれの魅力をより一層引き立てている。

一方、現代を舞台にした他の『コール オブ デューティ』タイトルと同様に、本作でも戦争を支持するような行き過ぎた帝国主義の描写には嫌気がさすかもしれない。例えば、ストーリーでは、アメリカにミサイルを撃ち込まれて腹を立てている人物を、指名手配中の「悪党」と呼んだり、この人物を拘束して尋問するためにメキシコの小さな町を空爆したが、処刑や投獄は違法なためできないという不条理な場面が描かれている。このため、ストーリーの内容について考えすぎると不快になるかもしれない。しかし、深く考えず、単純に世界を駆け巡る特殊作戦部隊のアクション・ゲームとして本作を捉えれば、最初の数時間をプレイした限りでは、『コール オブ デューティ』シリーズの作品として、ここ数年で最も作り込まれており、操作性にも優れたキャンペーンモードだといえる。

『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア 2』は10月28日にXboxプレイステーション、PC向けに発売される。なお、今回のレヴューではPC版のキャンペーンモードをプレイしている。

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