アマゾンのゲーム開発部門であるアマゾン・ゲーム・スタジオは『ロード・オブ・ザ・リング』をテーマにした基本プレイ無料のMMOを2022年にリリース予定としていたが、昨年4月にプロジェクトは中止となっている。当時はテンセントとのトラブルが原因だと報じられていた。
アマゾン・ゲーム・スタジオの社長であるクリストフ・ハルトマンは『ゲームスポット』の取材で、テンセントとの共同開発が困難になった経緯について触れている。クリストフ・ハルトマンによると、共同で開発を手掛けていた中国のレヨユ・テクノロジーズ社がテンセントに買収されたことで、プロジェクトの続行が難しくなったという。
「当社は香港に拠点を置くレヨユ・テクノロジーズ社と契約を締結していました。彼らと開発に取り組めていたら、素晴らしい経験になっていたと思います。ですが、テンセントに買収されてしまい、その後、事態は複雑になりました」
『ロード・オブ・ザ・リング』の知的財産権を所有していたミドルアース・エンタープライズ社はゲーム開発を手掛ける2社のどちらかが買収された場合、著作権契約を解除できるという条項を契約時に定めていた。よって、レヨユ・テクノロジーズ社の買収が契約内容に抵触することになり、ミドルアース・エンタープライズ社は本プロジェクトに終止符を打っている。
アマゾン・ゲーム・スタジオは開発継続に向けた解決策を見出せた可能性はあったものの、テンセントとの交渉がまとまらなかったことを理由に本プロジェクトから手を引く決断をしたという。
クリストフ・ハルトマンは次のように述べている。「テンセントと一緒に(開発継続に向けて)何かできたのではないか、という疑問は残りますが、当社は企業規模が大きすぎるため、他社が所有しているライセンスを共同で扱うパートナーにはなれません。ですから、共同開発を中止したほうが良いと判断しました。その後、両社の間で落としどころを見つけようとしたのですが、話し合いはまとまりませんでした」
『ロード・オブ・ザ・リング』のゲームは開発中止となったが、アマゾン・ゲーム・スタジオは『ニューワールド』と『ロストアーク』という2タイトルのMMOを展開している。
クリストフ・ハルトマンは「(この2タイトルの)追加開発を続けたい」と述べ、次のように語っている。「『ロード・オブ・ザ・リング』にはならないでしょうが、当社はオリジナルのファンタジー作品を有しているので、これらの開発を続けない手はありません」
『ロード・オブ・ザ・リング』の知的財産権は、現在エンブレイサー・グループが所有している。エンブレイサー・グループはスクウェア・エニックスから複数の開発スタジオと多数のIPを買収しており、先日、子会社のクリスタル・ダイナミックスが『トゥームレイダー』の権利所有者になったことを発表している。
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