Photo: Kutay Tanir

エンブレイサー・グループの最高経営責任者であるラース・ヴィンゲフォースはサウジアラビアのゲーム関連投資会社であるサヴィー・ゲーミング・グループから受けた同社への10億ドルの出資を正当なものだったと発表している。サヴィー・ゲーミング・グループはサウジアラビアの政府系ファンドの完全子会社となっている。

エンブレイサー・グループはスウェーデンに拠点を置く大手ゲーム会社で、ギアボックス・ソフトウェア、ディープ・シルヴァー、フライング・ワイルド・ホッグなど120以上のゲーム開発スタジオを所有している。

先週、サヴィー・ゲーミング・グループはエンブレイサー・グループに10億ドル(約1300億円)の出資を行い、同社の株式の8.1パーセントを所有することになると発表されている。サウジアラビアの政府系ファンドであるパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)からの出資には賛否両論あり、今回の動きも少なからず物議を醸している。しかしながら、同国はこれまでにも任天堂やゲーム業界の有名企業に出資しており、このような投資は今回が初めてではない。

ラース・ヴィンゲフォースは声明で、今回の出資受け入れの正当性を示すべく、次のように述べている。「ここ数日、なぜエンブレイサー・グループは非民主主義的な国家の企業からの出資を受け入れるのか、との質問を受けています。まず初めに、我々は自らを客観的に見る必要があります。当社は上場企業であり、世界各国から数多くの機関を株主として迎えています。その中には中東や北アフリカ地域(MENA)、アジアなども含まれています(中略)」

「完全なる営利法人のサヴィー・ゲーミング・グループは純粋に、ゲーム業界を構築し、業界にとって価値のある文化やグローバルで重要なエコシステムのサポートを望んでいます。サヴィー・ゲーミング・グループは我々の戦略や経営を支援すべく、大規模かつ長期にわたる資本出資を行い、当社の事業を継続的に成長し続けられるようにしています」

また、エンブレイサー・グループにとって「自由、包括性、人間性、開放性」が重要だとラース・ヴィンゲフォースは強調している。だが、昨年サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子はサウジアラビア人のジャーナリストであるジャマル・カショジの殺害を命じたと報じられるなど、同国は人権侵害を犯している国家として知られている。ムハンマド・ビン・サルマン皇太子はサヴィー・ゲーミング・グループを所有するパブリック・インベストメント・ファンドの会長を務めている。

一連の報道を擁護するように、ラース・ヴィンゲフォースは「今回のような大規模かつ長期的な出資ができる企業は世界でも一握りしかいません」と述べ、今回の出資は正当なものだとしている。さらに、今回の出資金がなければエンブレイサー・グループは活動規模を縮小せざるを得ず、様々な面において悪影響を及ぼしかねないと続けている。この声明から、エンブレイサー・グループは資金調達が目的で出資を受け入れたと見られている。

動揺する人々を落ち着かせるように、ラース・ヴィンゲフォースはサヴィー・ゲーミング・グループが所有する議決権は約5パーセント、株式は約8パーセントのみであり、エンブレイサー・グループの支配権は引き続き自身とその他の経営陣が持つと明言している。

その他のニュースとして、マイクロソフトはアクティヴィジョン・ブリザード社の買収完了後に、労働組合の結成に中立的な立場を維持すると保証している。

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