Photo: Electronic Arts

エレクトロニック・アーツのチーフ・ピープル・オフィサーであるマーラ・シンは、従業員からの批判を受けてLGBTQ+コミュニティを支持する声明を発表している。従業員らはエレクトロニック・アーツが人工中絶やトランスジェンダーの権利を擁護する声明を出さないことについて批判の声を上げていた。

先週、エレクトロニック・アーツの幹部が「多様性を受け入れる企業とは、あらゆる視点を受け入れる」との立場から、人工中絶やトランスジェンダーの権利を擁護する声明は出さない方針であることを社内ミーティングで話していた。

『コタク』によると、経営陣と従業員らが直接対話するタウン・ホール・ミーティングで「多数の」従業員が経営陣に対して、人工中絶やトランスジェンダーの権利を擁護する声明を発表するよう繰り返し求めていたという。一方、議事録によると、マーラ・シンは「エレクトロニック・アーツが発表する声明は、社会にポジティヴな影響を与えるものに限る」と従業員らに説明していた。

今年5月には、人工中絶を合法とする「ロー対ウェイド裁判」の判決を覆すアメリカ合衆国最高裁判所の草案が流出したことを受けて、ダブル・ファイン・プロダクションやバンジーなどの大手ゲーム開発会社は反対する声明を発表している。

しかし、マーラ・シンはタウン・ホール・ミーティングから約2週間後の6月3日に、LGBTQ+コミュニティを支持する声明をエレクトロニック・アーツの公式サイトに掲載している。「当社は長年にわたりLGBTQ+の権利を支持しており、その姿勢を崩すつもりはありません。しかし、今回LGBTQ+コミュニティの皆さまには誤解を招いてしまったようです。皆様からのご意見に感謝するとともに、これからも生産的で健全な対話を続けていける環境を守っていき、私たちの暮らしをより良くしていきたいと思います」

マーラ・シンは次のように続けている。「現在、米国では人権を侵害する法律が新たに制定されようとしており、LGBTQ+特にトランスジェンダーのコミュニティの皆さまが経験している苦痛や懸念をお察しします」

「私たちはこれからも安全で働きやすい職場を目指し、経営陣としての立場を明確にしたいと思います:当社は一致団結して、トランスジェンダーの権利と女性の権利を守ることは人権そのものを守ることだと考えております。当社の社員、プレイヤーの皆さま、そしてLGBTQ+コミュニティへの支援は揺るぎないものです」

さらに、エレクトロニック・アーツは「今後も協力して、ゲームのストーリーやキャラクターを通じて公正さを推進していき、安全で差別のない職場を作り、地元で医療が受けられない従業員には医療サポートの提供を徹底」していくという。

LGBTQ+関連のニュースとして、インディ・ゲームの販売プラットフォーム「イッチ・ドット・アイオー」は、クィアのクリエイターが制作した500以上のゲームやアート作品がセットになった「クィア・ゲームズ・バンドル 2022」を6月30日まで限定配信しており、売上はクリエイターの活動を支援するために使われるという。このキャンペーンの第1弾「クィア・ゲームズ・バンドル 2021」は112,627ドル(約1500万円)を売り上げている。

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