エレクトロニック・アーツの幹部は「多様性を受け入れる企業とは、あらゆる視点を受け入れる」との立場から、同社が中絶やトランスジェンダーの権利を擁護する声明は出さない方針であることを現地時間5月24日にタウン・ホール・ミーティングで明らかにしている。
『コタク』によると、経営陣と従業員らが直接対話する場であるタウン・ホール・ミーティングで多数の従業員がエレクトロニック・アーツの経営陣に対して、中絶の権利やトランスジェンダーの権利を擁護する声明を発表するよう繰り返し求めていたという。
一方、議事録によると、チーフ・ピープル・オフィサーのマーラ・シンは「エレクトロニック・アーツが発表する声明は、社会にポジティヴな影響を与えるものに限る」と従業員らに説明している。
「中絶やトランスジェンダーの権利はパーソナルで難しい問題です。それぞれの意見がありますし、公に我々も話せない場合もあります。腹立たしいかも知れませんが、よく分かります。エレクトロニック・アーツは複数の視点を考慮したうえで、従業員、プレイヤー、ファン、ステークホルダーなどのさまざまなコミュニティと当社にとって何がベストかを判断していきます」
また、マーラ・シンは5月24日に米テキサス州の学校で発生した銃乱射事件や1973年に人工妊娠中絶が権利として認められた「ロー対ウェイド裁判」にも触れ、「当社は、現代の問題により多くの『ヒーリング・サイクル』を提供していきたいと考えています」と語っている。
「ヒーリング・サイクル」の具体的な内容は明らかになっていないが、エレクトロニック・アーツのコーポレート・コミュニケーション・ディレクターであるレイシー・ヘインズは「グローバル・タウン・ホールの内容は社内のフォーラムですので、これ以上話すことはできません」としている。
また、レイシー・ヘインズは次のように続けている。「当社は従業員の皆さんが複雑な社会問題について話し合える環境づくりに取り組んでおり、グローバル・タウン・ホールやメッセージアプリ『スラック』での議論、グループでの対話、調査など、さまざまな方法でその実現を目指しています」
「当社は中絶やトランスジェンダーの権利といったトピックは非常にパーソナルなものだと認識しています。このトピックに言及するよう強い要望があることは把握していますし、当社が正式な権利擁護の声明を出さないことに失望した人もいるでしょう。ですが、私たちは雇用主として世界中にいる従業員をサポートすることに力を入れています。従業員の住んでいる地域で医療ケアなどを受けられるよう、私たちは取り組んでいます」
関連情報として、人工妊娠中絶が権利として認められた「ロー対ウェイド裁判」の判決を覆すアメリカ合衆国最高裁判所の草案が流出したことを受けて、ダブル・ファイン・プロダクションやバンジーなどの大手ゲーム開発会社は反対する声明を発表している。
その他のニュースとして、アクティヴィジョン・ブリザード社の従業員らが「反差別委員会」を結成したことが『ワシントンポスト』紙で報じられている。
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