Photo: Dan Kitwood/Getty Images

仮想通貨「ルナ」とステーブルコインの銘柄「UST」の暴落をうけて、暗号資産市場では5月12日に市場全体で売りの傾向が強まったことが明らかとなっている。

『PCゲーマー』によると、12日に仮想通貨「ルナ」が大暴落してことで、連動するテラフォーム・ラボ社のステーブルコイン「UST」の価格も大幅に下落している。これにより、暗号通貨市場に波紋が広がっている。

今回の暗号資産市場の混乱は、米ビジネスメディア『ファスト・カンパニー』が先週はじめに予見した通りとなっている。「ルナ」の暴落は「ドルと連動し、通常1000分の1%しか価格変動のない低リスクで安定的(ステーブル)な暗号資産」とされていた「UST」の急落も引き起こし、最終的に「ルナ」はたった1日で最大97%も下落することになった。

ステーブルコインとは価格がコモディティ(商品)と連動するように設計された暗号通貨を指している。韓国企業テラフォーム・ラボ社が発行するステーブルコイン「UST」、通称「テラUSD」は価格が1ドルで固定されるように設計された銘柄で、その価値はかつて「米ドルに匹敵する」と言われていた。

「UST」ならびに「ルナ」はブロックチェーンの技術を用いて連動(ペッグ)する「姉妹コイン」として発行された通貨であるため、両通貨の相場が同時に暴落する事態となっている。両通貨は独自のアルゴリズムで市場価格を安定させる方式が取られていると謳われていた。

仮想通貨の時価総額チャートを公開する『コインマーケットキャップ』によると、「ルナ」の価格は5月15日午後4時の時点で暴落前の84ドル(約1万850円)から0.0003ドル(約0.039円)まで下落しており、「UST」は0.99ドル(約128円)から0.186ドル(約24円)まで値を下げている。

「ルナ」と「UST」が大暴落する直前の5月11日には、テラフォーム・ラボ社の共同設立者の1人で「UST」の生みの親であるクォン・ドヒョンが「UST」を立て直すため、準備金として所有していた35億ドル(約4522億円)分のビットコインを開放している。その一方で、海外メディア『コインデスク』はクォン・ドヒョンがアニメ『リック・アンド・モーティ』の主要キャラクター「リック・サンチェス」の名前を使って、過去に別のステーブルコイン「ベーシス・キャッシュ(BAC)」を仲間とともに開発していたと報じている。「ベーシス・キャッシュ」は「UST」と同じアルゴリズム型ステーブルコインとして2020年に発売され、相場を1ドルで安定させるように設計されていたものの失敗に終わっている。

「ルナ」と「UST」の暴落は「テザー」など他のステーブルコインにも波及し、仮想通貨の市場全体に大きな波紋を呼んでいる。5月4日時点では約3万7,000ドル(約490万5000円)の価値があったビットコインも15日時点で約28,156ドル(約364万円)に下落している。

「ルナ」が暴落した原因は現段階では特定されていないが、『コインデスク』は「ルナ」と連動した取引運用アプリ「アンカー・プロトコル」経由で「大規模な資金の引き出しがあった」ことが関係していると推測している。

その他のニュースとして、ベセスダ・ソフトワークスは2022年末にリリースが予定されていたRPG『スターフィールド』とFPSゲーム『レッドフォール』の発売時期を「2023年前半」まで延期することを公式ツイッター・アカウントで発表している。

Copyright © 2024 BandLab UK Limited. NME is a registered trademark of BandLab UK Limited being used under licence.

関連タグ