『マインクラフト』の非公式NFTプロジェクト「ブロックバースMC」では、97万5千ポンド(約1億3700万円)の資金を集めた直後に各種公式サイトの更新が途絶えており、開発者が資金を持ち逃げしたのではないかとファンの間で物議を醸している。
「ブロックバースMC」は1月24日に1万点のNFTを売却しており、購入者は『マインクラフト』のマップ上に用意された「ファクション」(ユーザーによってアクセスが制限されたエリア)にアクセスできるとされていた。なお「ブロックバースMC」プロジェクトでは、イーサリアム・ブロックチェーン技術を駆使して「ファクション」内部にP2E(Play-to-Earn: ゲームをプレイしながら稼ぐというコンセプト)の環境を実現することを目標に掲げていた。さらに「ブロックバースMC」の公式サイト(現在は閉鎖中)に掲載されていたプロジェクトの概要によると、この「ファクション」内では対戦結果やプレイ時間に応じて「$DIAMOND」というコミュニティ限定通貨が獲得できると説明されていた。
プロジェクトの一環として、ゲーム内で使えるキャラクターがNFTとして1つ「0.05イーサ(97ポンド、約1万5千円)」で売り出されたところ、販売開始から8分で完売しており、売上は合計で「500イーサ(約1億3700万円)」に達している。ところが、販売終了後「ブロックバースMC」の公式サイトとディスコード公式チャットが閉鎖され、公式ツイッター・アカウントではNFTの完売を通知するツイートを最後に更新が途絶えたことから、NFT購入者やブロックバースのファンの一部は持ち逃げ詐欺だと主張している。
匿名ユーザー「illiquidassets」は「ブロックバースMC」プロジェクトのマーケティング担当として参加したが、持ち逃げされて被害を受けたと自身のツイッター・アカウントで明かしている。
「illiquidassets」によると、「ブロックバースMC」はインフルエンサーに宣伝役として協力を仰ぎツイッター・アカウントのフォロワーを1万人に増やしている。各インフルエンサーは自費で広告費などを捻出し、NFT販売終了後に返金してもらう予定だったという。さらに「ブロックバースMC」の公式ディスコード・コミュニティーも宣伝するよう依頼されていたという。持ち逃げ騒動が本当だとすれば、当然返金は行われない。
「(ブロックバースMCは)ディスコードのチャットを閉鎖したばかりでなく、プロジェクト・メンバーである私への業務連絡もありません。これが詐欺だと確定すれば、私は11イーサ(2万6千ドル相当)を失うことになるのです。今ではディスコードや公式サイトは閉鎖されてしまい返金もされていません」
さらに次のように続けている。「今日から開発者の割り出しに協力します。(開発者は)匿名だったので個人名などはわかりません。何か質問や情報があればディスコードで私までご連絡ください。(あなたがもし)協力できることがあればフレンド追加してください。チャットで話し合いましょう」
ディスコードでは、今回の持ち逃げ騒動の被害者向けチャットが開設され、騒動に関する情報が共有されている。そこでは「ブロックバースMC」開発者の一人と思われる「Kashx」とのやりとりがシェアされている。
Turns out #Blockverse_NFT was a rug. We have created a Discord where everyone who was adversely affected can communicate: https://t.co/3p9dF63Dbf
— Brian Walton (@Alphaxy1312) January 25, 2022
「Kashx」は次のように釈明している。「ファンの皆様には我々開発チームが(プロジェクトのために)費やしてきた時間(と努力)を信じて欲しいです。持ち逃げをしたつもりはなく、サーバーの立ち上げに忙しくチャットにまで手が回りませんでした」 さらに次のように続けている。「(誹謗中傷など)ネガティヴなコメントが多くて事態に対応しきれませんでした。取り急ぎ、窓口業務からは離れて開発に集中することにしました」
「今朝ディスコードをチェックすると、事態は悪化しており、手につけられない状況でした。中には殺害予告や(開発者の)個人情報を特定して晒そうとする人まで現れ、正直我々はパニック状態でした。開発に携わったメンバーの安全を確保するのが最優先だと判断しました」
「Kashx」は「Illiquidassets」に返金すると約束したが、「まずはこの事態に対応する」とコメントしており、ファンの怒りや疑問に対応する姿勢であることを示唆している。一方で被害者の間では「Kashx」と「Illiquidassets」は同一人物であり自作自演しているのではないかという声も上がっている。
ディスコードの被害者向けチャットを開設した「Gooregg」は今回の騒動について「Kashx」に直接問い合わせており、やりとりの内容をチャットで公開している。「Kashx」は「ブロックバースMC」プロジェクトの所有権と売却されたNFTのロイヤルティー料を受け取る権限を「NFT Worlds」に引き渡す予定であるとコメントしている。一方、500イーサを報酬として受け取ることについては、開発費用や殺害予告などの仕打ちを加味すると「フェアな額」であるともコメントしている。
しかし、このコメントに対してディスコードのチャットでは被害者から批判の声が上がっており、「Kashx」からの返信は途絶えている。現在も同チャットでは真相解明に向けて調査が進められている。
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