イギリスのゲーム業界の巨匠として知られるデヴィット・ローソンが現地時間8月10日に62歳で亡くなっていたことが明らかとなっている。彼はゲーム開発会社のイマジン・ソフトウェア社とサイグノシス社の共同設立者で、イギリスのゲーム業界に多大な影響を与えた。
『ユーロゲーマー』によれば1982年、デヴィット・ローソンが23歳の時にイマジン・ソフトウェア社を共同設立している。イギリスでゲーム・ブームが起こる中、設立1年目にして毎月100万ポンド(約1億5100万円)を稼いだとも言われ大成功を収めていた。
イマジン・ソフトウェア社時代はシューティング・ゲーム『アルカディア』やアクション・ゲーム『ア・ディドゥムス』など、初期のヒット作の開発に貢献した。全盛期には80人以上の従業員を抱えるまでに成長したイマジン・ソフトウェア社は、イギリスのマン島で開催されるオートバイ競技「マン島TTレース」に出場するチームも立ち上げていたが、同社は1984年6月に倒産してしまう。この倒産を予見するような出来事をドキュメンタリー番組の撮影に来ていた『BBC』が撮影していた。当時、『BBC』のクルーがリヴァプールでイギリスのゲーム業界に関するドキュメンタリー番組のロケを行っており、廷吏がイマジン・ソフトウェア社はの事務所に押しかけてくる様子がカメラに収められていたという。イマジン・ソフトウェア社が最後に手掛けたゲーム『サイクラプス』と『バンダースナッチ』がリリースされることはなかった。
一方、2011年から配信されているネットフリックスのSFドラマ『ブラック・ミラー』シリーズの1つとして制作された映画で『バンダースナッチ』というタイトルが採用されている。『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』は視聴者が選択肢を選びながらストーリーの展開を操作することができるというゲームの要素を取り入れた映画となっている。
元イマジン・ソフトウェア社のシニア・プログラマーであるジョン・ギブソンはソーシャルメディアでデヴィット・ローソンに追悼の意を表している。
「悲しいことですが、イギリスのゲーム業界の父であり、イマジン・ソフトウェア社の設立者であるデヴィット・ローソンが8月10日に亡くなりました。
デイヴのコンピューターゲームへの情熱は、尽きることがありませんでした。彼の情熱は、残念ながら日の目を見ることはありませんでしたが『バンダースナッチ』と『サイクラプス』という画期的な2作品の構想に繋がったのだと思います。
デイヴは私にとってとても大切な人です。彼は私にゲーム業界で初めて仕事を与えてくれました。熱意の他になんの取り柄もなかった私に賭けてくれたのです。そんな賭けに出てくれた彼に、私はこれからも感謝し続けるでしょう。
デイヴ、安らかにお眠り下さい。32年間、お世話になりました。ありがとうございました」
また、デヴィット・ローソンのパートナーであるトレイシー・ウォーカーも追悼の意を捧げている。
「結婚してから、サンフランシスコとヴァージニアで6年間を共に過ごしました。クレイジーな毎日でした! 本当に特別な人でした。最後の瞬間まで私と子どもたちのレイアとポピーの愛に包まれ、ウィラルの病院で息を引き取りました」
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