Photo: Heritage Auctions

歴史的に価値の高いレトロゲームの記録的な価格高騰について、オークション運営会社とゲームの鑑定会社が結託した可能性があるという調査結果が報告されている。

オーストラリアのYouTuberであるカール・ジョブストはゲームを鑑定しているワタ・ゲームズとオークション会社のヘリテージ・オークションズが結託してレトロゲームの価格を意図的に高騰させて、両社に利益をもたらした可能性があると主張している。

カール・ジョブストは、自らの調査結果をまとめた約1時間におよぶ動画を公開している。その動画で彼は、ワタ・ゲームズの最高経営責任者であるデニズ・カーンがヘリテージ・オークションズの共同設立者であるジム・ハルペリンと手を組み、レトロゲームの価値が今後も上昇し続けると公表することで中古ゲームの市場に影響を与え、またレトロゲームを単なるコレクションではなく投資の対象としての位置付けに変化させていったと主張している。

カール・ジョブストによると、ワタ・ゲームズは2017年に設立されているが、実際には2018年4月からビジネスを展開しているという。同社はパッケージ版のゲームの品質を評価し、10点満点でスコアを付け、機械でスラブと呼ばれるプラスチック製の収納ケースに入れてゲームを保管している。スラブに収納された評価付きのゲームの価格は比較的短期間のうちにその他のゲームの価格を大きく上回ることがあるという。

最近のオークションでは未開封の『スーパーマリオ64』が156万ドル(約1億7,200万円)、Xbox 360版の『ジ・エルダー・スクロールズV:スカイリム』が600ドル(約6万6,000円)で落札されるなど、レトロゲームの価格が高騰している。どちらのゲームも特に珍しい作品ではなく、『ジ・エルダー・スクロールズV:スカイリム』は現存するゲームの中で最も多く出荷されたゲームの1つとなっている。両作品ともワタ・ゲームズの評価が付けられており、ヘリテージ・オークションに出品されていた。

2017年にはファミコンの初代『スーパーマリオブラザーズ』の未開封品がeBayで3万ドル(約330万円)で落札されていたが、2021年にはワタ・ゲームズが評価した同じゲームが200万ドル(約2億2千万円)で取引されていたという。カール・ジョブストは動画の中で「同じゲームの価格がわずか4年の間に6000%以上も増加している」と指摘している。

『スーパーマリオブラザーズ』の未開封品は2019年にヘリテージ・オークションズを通じて10万ドル(約1100万円)で落札されており、それまでの2年間でゲームの価値が3倍に上がっていたという。この時のオークションでは3人のバイヤーが共同で落札しており、そのうちの1人がヘリテージ・オークションズのジム・ハルペリンとなっていた。また、落札後のヘリテージ・オークションズのプレスリリースで、ワタ・ゲームズのデニズ・カーンはレトロゲームの落札額が「10万ドル(約1100万円)を突破したことは、趣味としての作品収集の人気が今後も衰えない兆候だろう」と述べていた。

カール・ジョブストによると、このオークションこそが中古作品の市場を意図的に操作することに繋がったという。さらに、このオークションをきっかけにオークションの利用者たちの投機行為は加速してレトロゲームの取引価格が高騰し、ブームの火付け役とされる2社の主要人物が直接的な利益を得ることになっていると主張している。

「非倫理的な商慣習、偽り、談合、さらには詐欺(不正)が横行した事態となっています」と彼は述べている。

ワタ・ゲームズおよびヘリテージ・オークションズは、カール・ジョブストの主張に対して記事執筆時点ではコメントを発表していないものの、今後もこのニュースの続報が報じられるものと見られている。

その他のニュースとして、ストリーマーの「ドクター・ディスリスペクト」ことハーシェル・ビーム4世は昨年からツイッチでの動画配信の禁止処分を受けているが、ツイッチに対して起訴する意向であることを先日明らかにしている。

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