VRヘッドセットで広告を配信するフェイスブックの試みは好調なスタートとは言えない状況になっている。
初のゲーム内広告を展開する予定だった格闘ゲーム『ブラストン』はプレイヤーから苦情を受けたことを理由に方針を転換している。
つい先週、VRヘッドセットのブランド「オキュラス」を所有するフェイスブックはヘッドセットでの試験的な広告配信の開始を発表しており、『ブラストン』は同試験への参加が発表された唯一のタイトルとなっていた。
VRヘッドセットでの試験的な広告配信について、フェイスブックのAR/VR部門であるフェイスブック・リアリティ・ラボは「より多くの人にVRを体験していただき、お客様のゲーム体験を向上させ、長期的なARの取り組みを発展させていくこと」が目的であると述べている。
一方、『ブラストン』の開発元であるレゾリューション・ゲームズは6月22日に「プレイヤーからのフィードバックを受け、『ブラストン』はこの種の広告テストには向いていないと判断しました」とツイートしている。
After listening to player feedback, we realize that Blaston isn’t the best fit for this type of advertising test. Therefore, we no longer plan to implement the test. We look forward to seeing you in the arena and hope you try the Crackdown Update that went live today!
— Blaston (@BlastonGame) June 21, 2021
試験の中止により、『ブラストン』のVRプレイヤーはプレイ中の広告に悩まされることはなくなるが、レゾリューション・ゲームズはヘッドセットでのVR広告を完全に断念してはいないと見られている。
同社はその後のツイートで「同様の小規模で一時的なVR広告の試験配信を、将来的に無料ゲーム『Bait!』で行う可能性を検討しています」と述べて、その可能性を示唆している。
プレイヤーにとって煩わしくも避けられない広告表示は、格闘ゲーム『ストリートファイターV』やバスケットボールゲームの『NBA 2K1』といった正規価格のゲームにおいても導入されて不評を買っている。
イギリス在住のライターでゲーム・コンサルタントのネイサン・ブラウンは、自身のニュースレター「ヒット ポインツ」で自論を展開しており、ゲーム内の広告展開は「効率的な収益化の手段で、(プレイヤーが報酬を得られる)中級、上級者向けゲームのプレイヤーには最も受け入れられている」と一部擁護している。
ただし「VRヘッドセットの使用中は、広告は視界に入るどころか仮想現実上でユーザーと共存する」逃れがたい状況になるため、VR広告はより主張の強いものになってしまうとしている。
関連ニュースとして、1990年代にサイアン・ワールズが制作した『ミスト』のVRリメイクが、今秋Mac版を含むPC向けに発売されることが決定している。当初オキュラスのVRヘッドセット「OCULUS QUEST(オキュラス・クエスト)」用にリリースされた『ミスト』は、最新版ではVRヘッドセットの不要な従来のフラット・スクリーンにも対応している。
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