ゲーム『マスエフェクト』は恋愛に関して進歩的なことで知られているが、続編の『マスエフェクト2』はFOXニュースのある一場面がなければ、さらに解放的なものになっていた可能性があるという。
銀河系を舞台とするこのRPGでは、女性のシェパードを主人公に選択してプレイすると、登場人物の女性であるジャックとの恋愛イベントが発生する設定になるはずだったという。しかし、この設定は2007年に放送された保守系メディアのFOXニュースでの一場面を受けて、ゲームの開発中にカットされることとなった。
当時、FOXニュースのゲストは、1作目の『マスエフェクト』にはベッド・シーンがあり、フル・ヌードのグラフィックで表現されているとする事実無根の発言をし、プレイヤーが登場人物のリアラ・ティッソーニと同性キャラクターによる恋愛イベントを選択できる設定を批判していた。
当該のニュース映像はこちらから。
作品のストーリーを考案したライターの1人であるブライアン・キンドレガンによると、この放送がマスエフェクトの開発チームが『マスエフェクト 2』 で同性キャラクターによる恋愛イベントの設定を削除する原因になったという。「私は(ジャックの)恋愛の物語を描こうとしたのですが、それを一から男性のみ/女性のみのロマンスとして描くにはもう変更が効かないところまできていました」と彼は『ザ・ゲイマー』に語っている。「彼女は開発中の段階ではもっぱら基本的にパンセクシャルという設定でした」
「『マスエフェクト』はアメリカ国内ではFOXニュースの報道により、不当かつ痛烈に批判されました」とブライアン・キンドレガンは続けている。「『マスエフェクト 2』の開発チームは非常に革新的で偏見に捕らわれないチームでした。しかし、懸念はあったと思います。(一作目の)『マスエフェクト』で同性愛は設定上はありませんでした。リアラというキャラクターは性別が一つしか存在しない種族のキャラクターでした。もしこのことが波紋を呼んだら、『マスエフェクト 2』ではもう少し慎重になろうとチームで考えていたのだと思います」
作品には土壇場で変更が加わったが、ジャックの会話の多くに自分がパンセクシュアルであることを示唆する内容が含まれている。作品で彼女は男性、女性、さらには三人で同時に付き合う恋愛関係を経験したと語るが、最終的に彼女とのロマンスは男性のシェパードによってのみ可能となっている。
「ジャックとのロマンスが限定的であることに驚いたと沢山の人が話していました。それもそのはずです。彼女は自分がパンセクシュアルであることを示唆する発言を多く残しているからです」とブライアン・キンドレガンは語っている。「土壇場で修正が加えられたものの、ナレーションの収録も部分的に完了していました。すべてに修正を加えることはできませんでした」
『コタク』によると、バイオウェア社は『マスエフェクト 2』の発売時にFOXニュースの報道がゲームの開発には影響していないと公表していたとされている。開発元は今回のブライアン・キンドレガンの発言について正式なコメントをしていない。
バイオウェア社は現在『マスエフェクト』シリーズの新作に取り組んでいる。昨年12月には近日発売予定の最新作のトレイラーが公開され、新作が『マスエフェクト 3』の続編である可能性があることが示唆されていた。
Copyright © 2024 BandLab UK Limited. NME is a registered trademark of BandLab UK Limited being used under licence.