6月8日、アメリカの大手CDNプロバイダーであるファストリー社が提供するCDNの85%でサービス障害が発生し、多数のウェブサイトやインターネット・サービスの利用ができなくなる事態となったが、ある利用者が実行した設定の更新がその引き金となっていたことが報じられている。
ファストリー社は世界最大級のCDNを運営しており、近年同ネットワークの人気は飛躍的に高まっていた。同社は数十億人のユーザーにウェブサイトへの高速アクセスを提供しており、同社のサービスを導入したウェブサイトはセキュリティ上の脅威やアクセス数が最大となるピーク時に強いことで知られていた。
サービス障害の発生後、同社のエンジニアリング部門の責任者であるニック・ロックウェルはその原因について『ガーディアン』紙に語っている。
「5月12日に当社はあるソフトウェアを導入しましたが、それには、特定の状況で特定の利用者が設定を変更すると(サービスの停止を)誘発する可能性のあるバグが含まれていました」と彼は述べている。
「6月8日にある利用者が特定の状況でバグの引き金となり得る設定変更を有効にしたことで、当社のネットワークの85%でエラーが発生してしまいました」
ニック・ロックウェルは次のように続けている。「発生から1分以内に障害を検知し、原因が特定されたあと、設定を無効化しました。49分後にはネットワークの95%が正常に動作するようになりました」
「今回の障害を引き起こす特定の条件が存在するとしても、それを想定しておくべきでした」と彼は述べている。「当社はミッションクリティカルなサービスを提供しており、サービスに問題を引き起こす可能性のある行動に対しては細心の注意を払い、最優先で対処しています。この度の障害について、お客様とお客様のサービスを利用する方々にお詫びするとともに、コミュニティの皆様からのご支援に心より感謝します」
イギリスのオンライン・マーケティング会社「リブート」でマネージング・ディレクターを務めるナオミ・アルハローニーは『ガーディアン』紙に次のように述べている。「サービス障害が長時間におよぶことはありませんでしたが、特にEコマース・サイトには多大な影響が生じることでしょう。当社の調査によれば、Amazonの場合、サイトが1秒ダウンするごとに6,803ドル(約75万円)の損失につながると推定されています。今回発生した障害の影響については調査が求められるところです」
なお、上記の損失レートを1分間に換算すると408,180ドル(約4472万円)になる。もしAmazonで今回のように49分間のサービス障害が発生したとすれば、Amazonは約2000万ドル(約22億円)の損失を被ることになる。
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