『FIFA 21』の発売元であるエレクトロニック・アーツ社は否定しているものの、内部関係者はゲームがプレイヤーを有料のルートボックス・オプションに誘導するものとなっていると主張している。
『CBC』ニュースのインタヴュー記事によれば、匿名の情報提供者はエレクトロニック・アーツがプレイヤーにルートボックスでの購入を強要していることを示す内部文書を公開している。ルートボックス・システムについては最近裁判でその違法性が主張されて注目を集めていた。
問題となっている文書は54ページにわたるプレゼンテーション資料がリークされたもので、ルートボックスを購入する行為(「FIFAアルティメットチーム」モード(FUT))をゲームの「礎」と呼んでおり、資料には「すべての道はFUTに通じる」「プレイヤーをFUTに誘導するために全力を尽くしている」と明記されている。
プレイヤーを購入に「誘導」する方法についてはさらに別のページで言及されており、「コンテンツ・ティーザー」によって「興奮を煽り、他のモードからFUTにプレイヤーを誘導する」ことができると説明されている。
エレクトロニック・アーツの広報担当者は『CBC』からのインタヴューの要請を断っており、「秘匿特権の対象となる資料」であるとしてコメントを控えている。この文書は「文脈を無視して切り取られており」、「それによって間違った解釈がされている」と述べるにとどめ、詳しい説明を求められても答えなかったという。
「エレクトロニック・アーツのゲームはすべて、ゲーム内アイテムにお金をかけずにプレイすることができ、実際大多数のプレイヤーが課金をしていません」とチャーリー・フォーテスキューは声明で述べている。
プリマス大学とウォルバーハンプトン大学の新しい研究により「ルートボックス」についてはプレイヤーがお金を支払う時にはまだ何が手に入るかわからないという点でギャンブルとの関連性が指摘されている。この研究では、ルートボックスは「構造的にも心理的にもギャンブルに似ている」として、多数の子どもたちが現実の通貨やゲーム内通貨をルートボックスに費やしていると結論付けている。
また、ルートボックス購入者の約5%が1か月に約70ポンド(約1万500円)を消費しており、業界の収益の半分以上がルートボックスによるものであることも明らかになっている。報告書ではこれらの消費者の3分の1が「問題のあるギャンブラー」に該当すると述べられている。
2020年9月、英国政府は一般の人々に対して事例となる経験談の共有を求め、ルートボックスの影響に関する調査をデジタル・文化・メディア・スポーツ省に要請していた。その後発表された調査は「プレイヤーとその保護者の体験談を募集するとともにビデオゲーム会社、学界、市民社会、その他この問題に関心を持つあらゆる組織から、正確で質の高いデータや調査を提供してもらうこと」を目的としていた。
エレクトロニック・アーツは2020年にスポーツゲームのルートボックスだけで14億9000万ドル(約1614億円)を稼いでいる。『CBC』の取材に応じた関係者は「1ドルも使わずにプレイできる」と語っている。「しかし、コインを稼ぐには時間がかかるため、課金をしない方法ではすぐに挫折してしまうでしょう」
内部関係者は次のように続けている。「何年もの間、彼らはもっともらしい説明を重ねて否認してきました。しかし、彼らは内部文書の中で『我々の目標は人々をカードパックモードでプレイするよう誘導することだ』と言っているのです」
今年の初めにエレクトロニック・アーツ・スポーツの元社長であるピーター・ムーア氏が、ルートボックスをギャンブルの一種とは見なしていないと述べていた。2008年にFIFAシリーズに「アルティメットチーム」を導入した際にエレクトロニック・アーツ・スポーツの社長を務めていたピーター・ムーアは、このモードのランダムパックを「1920年代~30年代のタバコのおまけカード集め」に例え、プレイヤーによる課金には必ず見返りがあることを指摘していた。
「プレイヤーたちはこのゲーム・モードを気に入ってくれています。『何が出てくるんだろう』という半信半疑の気持ちで開けたらびっくり、ロナウドやメッシが出てくるんです。素晴らしいことではないですか」と語っている。「ハズレはなく、必ず何かもらえます。開けたら選手が一人も入ってないなんてことはありません」
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