エピック・ゲームズが「エピック・ゲーム・ストア」への投資で2019年に1億8100万ドル(約198億円)の損失を出していたことが、同社とアップルの訴訟過程で明らかになっている。
アップルは来月、カリフォルニア州地方裁判所の法廷に持ち込む資料が公開されている。資料のなかでアップルはエピック・ゲーム・ストアが「仮に利益を上げたとしても、それは少なくとも数年先」になると主張している。
アップルの資料にはエピック・ゲーム・ストアのヴァイス・プレジデントを務めるスティーヴ・アリションと、同ストアの事業開発部でヴァイス・プレジデントを務めるジョー・クレイナーによる供述録取書が引用されており、それによればエピック・ゲームズは2019年にエピック・ゲーム・ストアで1億8100万ドル(約198億円)の損失を出していたという。アップルによれば、2020年の同ストアの予想損失額は2億7300万ドル(約299億円)で、2021年では1億3900万ドル(約152億円)になるという。
また、同資料によれば、エピック・ゲーム・ストアは2027年まで収益の採算がとれなくなっており、そのためエピック・ゲームズは「信じられないほどの利益を上げている」エピック・ゲームズの他の事業部門、すなわち訴訟の原因となっているゲーム『フォートナイト』で調達した資金で、損失した費用を回収する必要があるという。
これに対してエピック・ゲームズも法廷用の資料を提出しており、資料にはエピック・ゲームズのCEOであるティモシー・スウィーニーの発言として次のように記載されている。「エピック・ゲーム・ストアは市場シェアの獲得を優先してマーケティングとユーザー獲得の為のコストを前倒ししているため、現在の規模と開発の段階ではまだ利益が出ません」
エピック・ゲームズは昨年8月にアップルが「アプリ・ストア」から『フォートナイト』を削除したことを受けて、同社に対する訴訟を起こしていた。事の発端は、エピック・ゲームズがアップルの「アップ・ストア」を通さず『フォートナイト』のゲーム内に直接課金できるシステム「エピック・ダイレクト・ペイメント」を導入したことにある。
これを受けてアップルはエピック・ゲームズの開発者アカウントを「アプリ・ストア」から削除し、『バトル・ブレイカーズ』や『インフィニティ・ブレード』シリーズの配信も停止していた。また、今年の2月に英国の公正取引委員会にあたる競争審判所は、アップルによる『フォートナイト』の販売禁止に異議を唱えたエピック・ゲームズの申し立てを退ける判決を下したことが明らかとなっている。
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