マイクロソフトによるアクティヴィジョン・ブリザード買収を巡って、米国のゲーマー10名が買収計画の差し止めを求めて提訴したと報じられている。
今年1月、マイクロソフトはアクティヴィジョン・ブリザードを推定687億ドル(当時のレートで約8兆円)で買収する計画を発表している。
しかし、その後、米連邦取引委員会(FTC)は買収計画を差し止めるために、提訴する準備を進めていると明かし、プレスリリースで次のように述べている。「マイクロソフトがゲーム業界でもトップクラスのゲームシリーズを獲得すると、競合他社がその人気コンテンツそのもの、またはその一部を取り扱えなくなり、高性能ゲーム機市場やサブスクリプション・サービス市場での競争が阻害される恐れがあります」
ロイター通信は米現地時間12月20日、この買収がゲーム業界の競争を不当に阻害するとして、米国のゲーマー10名が買収計画の差し止めを求めて提訴したと報じている。
カリフォルニア州の連邦地方裁判所に提出された訴状によれば、マイクロソフトは買収によって「競争他社をビデオゲーム市場から締め出し、商品の生産を制限し、消費者の選択肢を減らし、価格を釣り上げ、競争を阻害するという、市場を支配する非常に大きな力を得る」ことなるという。
『ユーロゲーマー』によれば、原告側の代理を務める法律事務所の1社は「ビデオゲーム市場での競争を維持し、消費者の利益と競争から生まれるイノベーションを守るために必要な訴訟です」とコメントしている。
「過去20〜30年間で大企業同士が合併したときには、市場における自由な経済活動に支障が出ています。社員の解雇、商品の値上げ、品質の低下、イノベーションの抑制などが引き起こされてきました」
一方で、マイクロソフトの広報担当者はアクティヴィジョン・ブリザードの買収によって「競争が促され、ゲーマーやゲーム開発者にさらなる機会が創造」されるとして、原告側の主張を否定するコメントを発表している。
これまでに欧州委員会を含む16の公的機関が、マイクロソフトによるアクティヴィジョン・ブリザードの買収が市場に与える影響を調査している。
また、『VGC』によれば、欧州委員会はアクティヴィジョン・ブリザード買収後の影響に関して、ゲーム業界関係者を対象にアンケート調査を実施している。アンケートでは、マイクロソフトがアクティヴィジョン・ブリザードのゲームをXbox以外で割高の価格で提供したり、Xbox限定のアップデートを配信する可能性はあるかが問われているという。
先月、アクティヴィジョン・ブリザードの広報担当役員は「合併を阻むような動きに対して争う」と表明して、買収はゲーマーたちとアメリカのゲーム業界に「利益がある」とコメントしている。
同月、マイクロソフトXbox部門のトップであるフィル・スペンサーはポッドキャストで、買収は『コール オブ デューティ』シリーズのIP獲得よりも、ゲームのモバイル対応に注力していくためだとコメントしている。また、マイクロソフトはソニーに対して定額制サービス「プレイステーション プラス」で『コール オブ デューティ』を提供する権利を提示したと先日報じられている。
今年9月の報道によれば、マイクロソフトはアクティヴィジョン・ブリザードとソニー・インタラクティブ・エンタテインメントとの現在の契約が終了した後も、3年間は引き続き『コール オブ デューティ』シリーズの新作をプレイステーション向けに提供すると提案している。しかし、ソニー・インタラクティブ・エンタテインメントの社長兼CEOであるジム・ライアンは、マイクロソフトの『コール オブ デューティ』に関する提案は「多くの点で不十分」であるため受け入れられないとして、「我々はプレイステーション・ユーザーの皆様に最高品質の『コール オブ デューティ』を提供し続けたいと考えていますが、マイクロソフトの提案はこの方針を根底から覆すものです」とコメントしている。
12月7日、フィル・スペンサーはアクティヴィジョン・ブリザードの買収が承認されれば、マイクロソフトは『コール オブ デューティ』を今後10年間任天堂のプラットフォームに提供し、シリーズの作品を「Xboxと同時に」スチームでも提供していくと発表している。
その後、フィル・スペンサーはポッドキャスト「セカンド・リクエスト」のインタヴューで、「ソニーはゲーム機市場での独占的な立場を守ろうとしています。Xbox(のシェア)を抑えて成長しようとしているのです」とソニーを批判している。
その他のニュースとして、米ホープー・ゲームズは2013年に手掛けたローグライク・アクション・ゲーム『リスク・オブ・レイン』のリマスター版をリリースすると発表されている。
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