米ダブル・ファイン・プロダクションズの設立者ティム・シェーファーは『NME』の取材に応じて、より良いゲームの制作には「ステレオタイプの言語表現」ではなく、すべての人に対して分け隔てのないスタンス(包括性)が必要な理由を挙げているほか、言葉に関する意識の変化が『サイコノーツ』シリーズに与えた影響を語っている。
ティム・シェーファーは『NME』の特集記事の中で、ゲーム制作を始めた1989年当時のゲーム業界は「(言語表現に対して)非常に鈍感」だったと述べており、その意識の変化は初代『サイコノーツ』の16年後に発売された『サイコノーツ2』に反映されていると説明している。
ティム・シェーファーは次のように述べている。「1作目でやったことのいくつかに、2作目では意図的にやらなかったことがあります。ただ、我々も単に歳を重ねて、自然とゲーム内の表現に敏感になりました。(前作と)同じようなジョークやユーモアは重要ですが、より(表現に)気を使う必要があります」
「『サイコノーツ2』はコメディなので、我々は誰かを馬鹿にしているのではなく、ユーモアと愛情を持って人間の心理を観察しているのだと理解してもらうことが非常に重要でした」
続いて、包括性については「常に学ぶべきものがある」と述べて、自身の経験を語っている。
「(言語表現について)十分に学んできたと思っていたのですが、とあるゲームをテストした際、プレイヤーからある単語を指摘されて、この単語が特定の人々にとってどんな意味を持つのか知っているかと質問されました。私には全く分かりませんでした。“ポリコレ警察だ、社会問題に関心を持て”などと批判されるでしょうが、どんな作品でも、私は自分の作品をどう受け取られるかを念頭に置いてます。ホラー・ゲームを作るなら、怖がらせて……ちゃんと恐怖を与えられているかな?って。コメディなら、笑わせられているのか? 恋愛ゲームなら、ロマンティックな雰囲気を味わえているのか?(と考えています)」
「もし、コメディ作品が人を傷つけているのであれば、それはコメディではありません。もちろん、作品の意図が正しく伝わっているのかは確認します。誰かを貶める言葉を使っていないか? 疎外感を感じさせる描写はしていないか?と」
また、何が良質なテキストで、なぜ人を不快にする比喩表現を避ける必要があるのかについて、自身の見解を示している。
「良質なテキストは、ステレオタイプの言語表現から決して生まれません。良質なテキストとは、調査、実生活での会話、個人の経験がベースになります。これにより、ステレオタイプな言語表現を詰め込んだものとは正反対の、画期的なテキストが出来上がります」
他にも、ティム・シェーファーはゲーム業界においてクランチ(長時間労働)を避けて、従業員の生活の質を向上を図るのは「非常に重要」だと強調している。
その他のニュースとして、セガ メガドライブの名作4タイトルが新たに『セガ メガドライブ for Nintendo Switch Online』に登場している。
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