Photo: id Software

『ドゥーム エターナル』の作曲家であるミック・ゴードンはブログサイト『メディウム』で声明を発表して、スタジオ・ディレクターのマーティ・ストラットンの「嘘」によって「名誉を傷つけられた」と主張している。

2020年当時、マーティ・ストラットンは『レディット』にオープンレター(公開状)を投稿して、『ドゥーム エターナル』のサウンドトラックにミック・ゴードンが手掛けた楽曲がほとんどない理由と、イド・ソフトウェア社のリード・オーディオ・デザイナーであるチャド・モショルダーがサウンドトラックの制作にどう関与したか述べている。その中では、ミック・ゴードンが楽曲の締め切りを度々守らなかったために、チャド・モショルダーが「ミックが納品したすべての楽曲を編曲し、公式サウンドトラックとして採用」されたと説明している。

『ドゥーム エターナル』ではチャド・モショルダーが「コントリビューティング・アーティスト(参加アーティスト)」、ミック・ゴードンは作曲家(兼アルバム・アーティスト)としてクレジットされている。

今回、ミック・ゴードンは声明を発表して、マーティ・ストラットンが「実際の出来事や契約条件、正式発表、メール、電話での会話の内容と違う虚偽の説明をした」と主張している。

彼は「マーティ・ストラットンの投稿は、私の評判に公私ともに深刻な影響を及ぼしました。反論としてこの声明を公開したいと思います」と述べている。「問題の解決に向けて、できる限りのことを行いましたが、残念ながら声明を公表するに至りました」

ミック・ゴードンはまず声明で「マーティは失敗の責任を私に負わせるために、『ドゥーム エターナル』のサウンドトラックの制作経緯について虚偽の情報を拡散させました」と述べて、マーティ・ストラットンからは「口止めを条件に数十万ドルの和解金が提示された」と主張している。

「私にとっては真実が重要なのです」と彼は続けている。

声明では、サウンドトラックの制作は当初から順風満帆だったとは言えず、2ヶ月後には「スケジュール通りには進まないと判明した」などの詳細が記されている。全文はこちらから。

https://medium.com/@mickgordon/my-full-statement-regarding-doom-eternal-5f98266b27ce#b04c

「サウンドトラックは計画上は上手く行くように見えていましたが、実際には大失敗に終わりました。(前作とは作品の方向性が異なる『ドゥーム エターナル』に登場する)ステージに特化した音楽を2ステージ分、作曲、演奏、録音、編曲、ミキシング、マスタリングして、フィードバックを受けるというプロセスで30日ごとに繰り返していく契約でしたが、今では馬鹿らしく思えます」

ミック・ゴードンは「制作状況に即した代替案を提案した」が、マーティ・ストラットンは「現在のスケジュールではうまくいかないという私の考えを否定して、代替案の提示は無能の証明だと仄めかしたのです。彼は聞く耳を持たず、提案を突き返しました。そしてこのやり取りが引き金となって嘘の公開状は投稿され、私の名誉は傷つけられました」と続けている。

続けて、ミック・ゴードンは報酬に言及している。「私が制作した音楽は合わせて5時間ほどになり、イド・ソフトウェア社はほぼ全て使用しましたが、報酬は本来の半分でした」

「その上、イド・ソフトウェア社が追加の楽曲を依頼した場合の支払いも契約で保証していましたが、いまだにその分の支払いを拒否しています」

サウンドトラックの評判が悪く、経緯を発表する前に、ミック・ゴードンとイド・ソフトウェア社の間で弁護士を交えたやり取りが続いたという。「マーティの投稿がきっかけとなり、私への誹謗中傷は驚くべき速さでエスカレートしていきました。私の仕事ぶりが怠慢だったと書かれていたために、ファンを失望させて一部の過激なゲーマーが公然と誹謗中傷を始めたのです」

「(ネット上で)過激な表現が書かれ、その内容があまりに強烈で気分が悪くなるほどでした。誹謗中傷の嵐に……想像しなかったほど、本当に疲れ果ててしまいました」と彼は続けている。

ミック・ゴードンは(マーティ・ストラットンに)『レディット』の投稿を削除させようと何度も試みたがうまくいかず、サウンドトラックの新しいバージョンを制作するという提案も却下されたと主張している。

「マーティには投稿内容を訂正する時間を十分に与えました。私が求めたのは真実と、正当な対価だけです。マーティは外聞を気にして、レディットに投稿した内容を訂正するのを頑なに拒否した結果、私に口封じのオファーをする羽目になりました」

「私に残された唯一のすべは、事実を公表することでした」とミック・ゴードンは述べている。イド・ソフトウェア社やベセスダ・ソフトワークス社、マーティ・ストラットンは今回の声明について、現時点でまだコメントを出していない。

その他のニュースとして、欧州連合(EU)の欧州委員会はマイクロソフトのアクティヴィジョン・ブリザード社の買収について「本格的な調査」を開始している。

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